医療経済の講義を受けたのに内容と関係ない陰謀論を引用した感想文

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講義に参加するにあたり、予習として図書館でミクロ経済学の本を一章だけ読んで参加した。というのも、それくらい私は経済学が何をしているのかについて全く知識が無く、前提が無いと講義についていけないのではないかという不安があったためである。

実際に講義を受け終わった後の率直な感想を言えば、主に保険制度とそれが上手く機能しているかの評価指標の話だったんじゃないかなというもので、「経済学とは」という本を読んでアダムスミスの辺りまで予習していた私としては、その予習は方向性の間違った予習であった気がしていた。

その誤算は嬉しさ半分期待外れ感半分といった具合で、ネガティブな方の感想で言うともっと目新しい分野についての話が聞けると思っていたのに結局これまで勉強した制度についての話の詳細でしかなかったなというもので、ポジティブな方の感想で言うと医療行為も無償の慈善活動ではないのでお金の話は切っても切り離せないため、その配分を論理的に詰めて作られてきたのが現状の保険制度であり、その具体的な機能が患者及び医療者双方にどのような経済的相互作用を生む仕組みとなっているか曖昧だった点を明確化して教えていただけたので、今後医療従事者にならないとしてもかなり役に立つ話が聞けたうえに、現状の専門家から見た問題点も分かって、ワイドショーの自称専門家が発信する情報を疑う材料や陰謀論に振り回されない適切な知識が得られてよかったな、というものであった。

 

陰謀論という話で言うと、「医者が自身の利益のために一度使うと止められない高額な向精神薬(ここに挙げられる薬は、他にも抗がん剤生活習慣病改善薬までバリエーションは色々あるが)を、病気になっていなくてもバンバン処方して儲けている。標準医療は悪。」といった主張があり、インターネット上はおろか、弊学部の図書室にある医師による著書にもこの手の論が訴えられているのを見つけている。

この主張は国民皆保険制度で税金によって定義の広範な医療費を賄うというシステムと、高齢化により医療費が増加しているのに対して病気になりにくく医療費のかからない労働者人口が減っていて、今後医療費削減のために病気になる人を減らそうという方針が地域医療の中にも盛り込まれており口うるさいほどに生活習慣病予防が叫ばれている現状を鑑みると、いかに偏ったものであるかが理解できると感じた。

一部にはそのような医師も存在するのかもしれないが、それを全体の傾向であるかのように喚くのは害悪ではないかと考えられる。基本的に標準医療が統計的に裏付けられた効果検証の研究に基づいたものであり、そうでないものよりは治療効果の期待値として高いという現状、それよりも治る「医療」があるのだと信じるのは個人の自由であると思うが、標準医療を不当に貶めることによってそのオリジナル「医療」を周知して、治療できる患者の治療機会を奪ったあげくその責任を負わないというのは、吐き気を催す邪悪ではないかと感じる。また、最終的にそのような陰謀論の尻拭いを標準医療で行い、医療費の圧迫につながってしまうと考えるとマッチポンプにも見えてきてしまう。

 

話は講義の内容からかなり逸れてしまったが、講義で医療保険制度がよく練られたものであり、その問題点の改善をすべく色々な指標で多角的に評価しているということを学んだ上で、上記のような素朴な正義心から来る陰謀論がいかに害悪であるかを強く感じたので、講義の感想としてはこのような形となった。

 

参考文献:

prtimes.jp

www.nippyo.co.jp

www.kinokuniya.co.jp