ゴム手袋をつけた指先に静電気が走った話

まえがき:

いい歳こいてお年玉を頂いているので、最近臨時でたくさんのお金が入った。かつて私はススキノのとある風俗店でアルバイトをしていた経験があるが、当時の自給で換算して15時間分程いただいた。(いくらかはご想像にお任せする)

その風俗バイト15時間分のお年玉の1/4は、本を買うのに使ってしまった。

今回購入した本は今後読み終わってからブログのネタとして紹介していこうと考えているが、ジャンルで言うと「電気」に関わる本を3冊、高校の社会科の参考書を2冊、某大型書店で入手した。書店にて本を購入する際には毎回全く興味のない一冊を雰囲気で適当に買うという「遊び」を入れるが、このセレクションは前もって買おうと予定していた本ばかりで、無駄遣いをする余地を含めなかったのが悔やまれる。

そんなわけで、学校のテストから解放された今日からは「電気」と社会について勉強し始めた。学部の方針状、私の学年はテスト期間中研究室に行ってはならないことになっていたので、今日はある種の小さな社会への復帰の初日でもあった。

 

本文:

研究室における私の立場は下っ端から数えて2番目くらいのもので、去年の秋に入った後輩2人と同期1人を除いて後は全員先輩といった状況である。実験動物を扱う研究室なので(実験動物使うかは関係ないものなのかもしれないが)、土日でも動物のお世話等で室員は誰かしらは必ず来る。そんな中、私は一か月近く先輩らと会っていなかったので気まずさを少しは感じるのではないかと心配をしていたが、全くもってそんなものは感じなかった。みんなが毎日通うコミュニティに急に通わなくなってから復帰する際のダルさに慣れてしまったのか。

余談ではあるが、慢性的なストレスによる神経伝達の変化には内因性カンナビノイド(自分の体が産生する大麻成分様物質)が関わっているという記事(※1)を先々月に読んで、嫌なことを克服するにはその嫌なことにある一定期間さらされて別に死ぬほどの脅威じゃないと自分をその恐怖に馴化させていく必要があるのかな等と考えていた。意識していたわけでは無かったが、その記事を読む以前から割とそういった恐怖に対する免疫をつけるべく色々なことに挑戦はしてきていて、今回休み明けの気まずさを感じなかったのにもそれが効いてるんじゃないかなと勝手に考えている。

そんなわけで、一か月顔を出さなかったコミュニティにシレっと復帰したが、実験をするには十分な下準備が整っていなかった(動物を適齢期に育てたり色々ある)ので、今日は培地をつくってデスクを整理する程度で済ませることにした。培地は基本的に材料を混ぜて温めて型に流して固めるだけで出来るが、温めたり固めるのに若干待ち時間があるので、お年玉で買った本を読んだり、ボーっとしたりとダラダラしていた。ずっと本を読み続けずボーっとする時間を入れたのはあえてのことで、実験動物全般で連続で学習するよりも適宜休憩を入れて学習した方が長期的に記憶に残りやすいといわれていること(※2)を考慮して計画的にボケっとしていた。(本当は線虫の学習に関する論文中で引用されている文献でこの話は知ったが、単語だけ覚えてソースを忘れてしまった。)

待ち時間に読んだ本のジャンルは生体電流についての本(※3)で、待ち時間中には知っている話の部分までしか読めなかった。が、早く家に帰りたかったので待ち時間は延長せず作業に戻った。

培地づくりの作業中は、培地に余計な微生物が入り込まないようにクリーンベンチという無菌で操作できるUFOキャッチャーの中に手だけ突っ込めるようになっている感じの台でゴム手袋をするなどして操作をする。新型コロナで散々感染に配慮する生活を強いられているが、マスクをしてゴム手袋も消毒して無菌の環境で作業をしている私がいま自粛状態だななどと余計なことを考えながら手を動かしていた。その作業中に、パチッと指先に静電気が走った。冬場にありがちなことなので一瞬スルーしたが、冷静に痛んだ指先を見るとばっちりゴム手袋がはまっている。意味が分からなかった。ゴムは電気を流さないと、絶縁体であると習ったじゃないか。ちょっとマニアックな先生は、めちゃくちゃ電圧をあげれば電気が流れないこともないよとか言っていた気はするが、ゴムで出来た手袋を介して人体にまで電気を流すような電圧が特に操作もなしに生じるものかしら。確かにクリーンベンチ内は細菌が入らないように風が吹いていて持っている培地用のシャーレもプラスチックだし、静電気が生じやすそうな感じはあるけどゴム手袋貫通してくるかね。色々と脳裏に駆け巡る疑問はあったが、私は面白い経験したなとちょっと得した気分になってそのまま作業に戻った。

 

あとがき:

ゴム手袋に穴は空いて無さそうに見えたけど、肉眼では確認できないくらい小さい穴から静電気がとかはあり得るのかもしれないなどと考えたが、電磁気は高校レベルで止まっているので結局機序はよく分からなかった。ゴム手袋ごしに静電気をくらった経験がある方、現象の説明ができる方がいらっしゃったら教えていただけると嬉しいです。

 

 

※1

http://www.jbsoc.or.jp/seika/wp-content/uploads/2013/05/83-08-03.pdf

※2

en.wikipedia.org

※3

bookclub.kodansha.co.jp