トイレの龍馬さん

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坂本龍馬の日めくりカレンダーが実家のトイレに飾られていた時期があった。

今ではお笑いコンビのノンスタイル井上というひとの名言カレンダーみたいなものが、竜馬のいたところにかかっている。竜馬の日めくりカレンダーがかかっていた時期は、毎月同じ日に同じ名言が来るものの、飽きることなくカレンダーはひめくられていたが、井上さんのカレンダーはときどき「キスは最高のリップ」などファミリー向けには一日トイレに飾って置きにくい文言が混入しており、ときどき不自然に日めくりを忘れられている日がちょくちょくあって、そんな調子なので日めくりの習慣がなくなってしまい、今ではトイレの井上カレンダーはずっと同じ日を示したままヘビースモーカーの父親によるヤニで黄ばんでしまっている。習慣が形成されるのに3週間は必要だという俗説はあるようだが*1、井上カレンダーによるひめくる習慣の削除には3週間もかからなかった記憶がある。

 

坂本龍馬の名言カレンダーは2~3年ほどめくられ続けたので、36周ほど同じ文章を繰り返し読み通したことになるが、記憶とは儚いもので、高校生時代にはおおよそ全部覚えていた日めくりカレンダー中の名言も今ではほとんど覚えていない。しかし、一応断片的に覚えてるものはいくつかあって、中でも「これからの時勢はもはや決死剽悍の暴勇だけでは間に合わぬ。一人で天下を動かす気概と智恵が必要だ」というものがある。

これは司馬遼太郎*2の考えたセリフなのか、坂本龍馬が実際言ったことの伝聞なのかはよく分からないが、人一人でも天下を動かすつもりの気概と知恵を併せ持っていなければ何者にもなれないというようなニュアンスの言葉だったと記憶している。坂本龍馬の他の名言に「金よりも大事なものに評判というものがある。世間で大仕事をなすのにこれほど大事なものはない。金なんぞは、評判のあるところに自然と集まってくるさ。」という感じのものがあったらしいので、実際一人で大仕事をなすというのは無理な話だと分かっている人がそれでもやはり一人でも天下を動かすつもりで気概も知恵も持っておくべきだと言ってるのが良いなと思う点で、いまでもこれは覚えている。

余談ではあるが、ヒトの社会的に隔離された状態が続くと睡眠不足や過食気味になるという現象をハエで再現すると、脳内が飢餓状態のときと似たシグナルを発していたことが分かったという話を最近聞いた。*3

 

山登りで登山道から逸れてプチ遭難した際にも思ったことではあるが、ヒト一人が出来ることというのは実際大したことはないし、ヒト一人は自然界においてもすごく脆く弱い存在である以上、快適に楽しく生きていくためにはどうしたって何らかの社会というものには所属せざるを得ない。その社会が特定の技術に習熟した人々による支えあいで近代的で高度なものとして成り立っている以上、ある程度餅は餅屋と専門家を信頼してそこに依存して生きていかなければならない。ただ、その社会において自分が大きく貢献しようと思う際には一人でも世の中を、社会を動かしてやるぜ的な気持ちとそれに伴うだけの知恵を持っておかなくてはならない、という考え方を坂本龍馬の日めくりカレンダーから私は学んだ。

 

だから、コロナ災禍でヒトとの交流が表面上絶たれている状況にあっても、腐らずに毎日少しずつ色々な形で勉強をしていこう、とノンスタイル井上の「SNSをポジティヴに楽しむための30の習慣」を読んで改めて思った。*4この本は4年前に妹から誕生日プレゼントとしてもらったもので、井上日めくりカレンダーをトイレに飾ったのも妹である。

 

坂本龍馬のカレンダーだった時期に好きだった曲

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