聴書感想文「論語と算盤」を聴いて

※このブログは60分という制限時間を設定して、その中で書いている文章です。

 

次の一万円札の顔となる人物が渋沢栄一であるとの風の噂を聞いて、audibleにて「論語と算盤」*1という本を購入した。audibleとは本の内容をいい声の人が音読するサービスである。月に一冊分のaudible用の「本」を買えるコインが貰えるというサブスクに登録をしているので、3月くらいに購入したこの「本」を、ランニング後の入浴の時間と皿洗いの時間に少しずつ聴き進めていた。

渋沢栄一が何者であるかはこの本を聴く前にWikipedia*2を参照したところ、現在のみずほ銀行一橋大学理研を設立したというとんでもない人で、その人が書いた本の中でもベストセラーになっているのがこの「論語と算盤」という作品らしいということで、結構期待値が上がった状態で聴き始めた。

全体を通しての感想としては、

この本は昭和3年(1928年)に初版が発行されたものらしいが、いまだに日本人の道徳や経済活動に関するあるあるが古臭さを感じさせるものではなく、日本という国に生きる人の普遍的な性質を述べている感じがあって、100年近く読まれ続けるのも分かる気がした。その反面、こんな100年前に危惧されている問題を未だにあるあると引きずっているなんて世の中はあんまり進歩していないんだなというのを感じたし、このおじいさんのこうなったら良くないよねといっている方向に日本は進んでいる気がして、ベストセラーというからには100年間読む人が一定数居続けたにも関わらず世の中があんまり変わっていないと感じるのにはどういうわけがあるんだろうと疑問に思った。

言葉の言い回しが古かったり、聴いているだけで文字を見ていないがために、何を言ってるのか分からないところも所々あって、一度「通読」しただけではその内容を把握しきれていない感じはあるが、「Aをするのは良いことだけどやりすぎるとBという問題が生じるのでちょうどいい感じでやれ」という構造の短いお話が数十本、自分の体験談を例に述べられているというスタイルであったと思う。

中でも特に今現在個人的に頭に残っている話は、女性教育の重要性についての話で、内容的にはざっくり、立派な人物は賢い母親から生まれるものであるから、女子も今後ちゃんと教育していかないと社会はアホばかりになり兼ねないという話で、昨今SNS上で「活躍」する声の大きいだけの「フェニミスト」は女性教育を雑に扱ったことによる副作用なのかな等と考えた。

他にも勉強すると捻くれるみたいなことを言う人間に対する反論の話や、なんでもかんでも海外と言っとけば進んでると感じるのはいい加減に卒業しようという話、心根が偽善であっても結果が善であればそれは全部善だし逆もまた然りという話、一時失敗して見える者も死後成功していると見なされることもあるよという話などが印象に残っていて、とりあえずもう一周目は書籍で読む価値がありそうな本だと思った。

 

※本が読めない人はYoutubeに色々と解説動画があがっていたのでそちらを参照されると良いかもしれません。漫画版*3も読みましたが、これは分かりにくかったし今回「読んだ」内容の魅力を表現できているものとは思えなかったので、お勧めしません。